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海外学会レポート

CINP 2002 見聞記

CINP 2002 見聞記

弘前大学医学部精神医学教室
小野 真吾

  2002年6月23日から6月27日の5日間、国際神経精神薬理会議第23回大会(Collegium Internationale Neuropsychopharmacologicum: CINP)がCloude de Montigny (Canada)会長のもと、カナダ・モントリオール市の国際会議場(Palais des Congres)を会場に開催された。会場は、チャイナ・タウンに隣接し、モントリオール旧市街にもほど近い絶好の立地であった。
学会は、4つのプレナリー・レクチャー、56のシンポジウム、800を越えるポスター発表、18のサテライト・レクチャー、その他にワークショップ、とその内容の充実には目を見張るものがあった。昨年のCINP広島会議では、直前に起こった同時多発テロの影響を受けて、参加を取りやめた研究者が目立ったものの、今回の学会まで9ヶ月が経過し、国際学会の名に相応しく、世界各国より一流の研究者が一同に会していた。北米での開催という地の利を生かし、米国よりの参加者が目立った。
種々のシンポジウムの中で、私が注目したのは、J. Hietala氏(フィンランド)の発表であった。氏は、PETを用いた研究で、ドーパミンD2受容体TaqI A遺伝子多型のA1遺伝子が、ドーパミンD2受容体のavailabilityに影響を与える一方、ドーパミンD2受容体-141C Ins/Del遺伝子多型やSer311Cys遺伝子多型が[11C] racloprideのドーパミンD2受容体結合能に影響を与えないとした。又、18F DOPAとPETを用いた研究で、ドーパミンD2受容体TaqI A遺伝子多型のA1遺伝子が、被殻に於けるF DOPA Ki値の予測因子になりうることをしめした。これはA1遺伝子が線条体におけるドーパミン機能を変化させ、DRD2密度の低下が代償的にシナプス前のドーパミン合成を誘導した可能性を示唆した。私事で恐縮だが、我々のグループではこれまでに、ドーパミンD2受容体TaqI A遺伝子多型のA1遺伝子及び-141C Ins/Del遺伝子多型について、分裂病患者のdopamine受容体遮断薬に対する治療反応性との関連を報告している。すなわち、A1遺伝子保有者では陽性症状の改善が良好であり、Del遺伝子非保有者では不安・抑うつ症状の改善が良好であるというものである。これら中枢神経系の受容体遺伝子多型と臨床症状の関連について、さらなる研究の進展が望まれる。
ポスター発表はいずれも昼の12時15分から14時にかけて行われた。参加者はランチを取りながら、思い思いにポスターを見て回ることができた。私は3日目に発表を行った。題は、Effects of CYP2D6 genotype on plasma concentrations of risperidone and its active metabolite, 9-hydroxyrisperidone in Japanese schizophrenic patientsであった。この中で、85名の日本人精神分裂病患者(男性27例、女性58例)において種々のCYP2D6遺伝型がrisperidone(RIS)と9-hydroxyrisperidone(9-OH)の定常状態血漿濃度(Css)にあたえる影響を検討した。
全例がRIS 6 mg/日を2週間以上服用中であった。服薬12時間後に採血を行い、RISおよび9-OHの血漿濃度はLC-MS-MS法で行った。全例にPCR法で*3, *4, *5, 10を同定し、RISのCssあるいはRIS/9-OH比が極値を示した4例には、*14, *18, *21, *36も同定した。CYP2D6遺伝型は6種類同定され、遺伝型とRISのCssおよびRIS/9-OH比は密接な関係があった。一方で、9-OHのCssと、RIS9-OHのCssの合計(active moiety)はCYP2D6遺伝型間で差はなかった。これらから、CYP2D6遺伝型は、RISの9-水酸化を強く規定し、RISのCssに影響を与えることが示唆された。しかし異なった遺伝型間で、active moietyに差がないことからRISでの治療においてCYP2D6遺伝型決定の臨床的意義は限られると考えられた。
今学会参加に際しては、日本臨床精神神経薬理学会、ポールヤンセン賞事務局の多大なご支援を頂戴した。ここに心より御礼を申し上げる次第である。 尚、次回のCINPは2004年6月20日から6月24日にかけてフランスのパリで開催される予定である。


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