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海外学会レポート

第23回CINP参加レポート

第23回国際神経精神薬理学会(CINP)に参加して

聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室
鈴木英伸

 第23回国際神経精神薬理学会(CINP:Collegium Internationale Neuro-Psychopharmacologicum)は、2002年6月23日から27日までカナダのモントリオールで行われた。梅雨で不快指数が高い日本とは違い、カナダは比較的晴天に恵まれ、気温はそこそこ高いながらも湿度がそれ程高くないこともあり、比較的過ごしやすい天候であった。そんな中、今世紀最初のCINPはDe Montigny組織委員長のもとPALAIS DES CONGRES DE MONTREALという会場で開催された。学会は初日を除き朝8時45分から11時15分までシンポジウムが行われ、12時15分から14時までがポスターセッション、14時から16時30分まで再度シンポジウムが行われ、さらに17時から19時までサテライトシンポジウムと息つく間がないほど密度の濃い内容であった。特に国内の学会とは異なりポスター会場は広く、会場内に様々な製薬会社の製品紹介ブースがあり、国際学会の規模の大きさに驚きを隠せなかった。今回、聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室はポスターセッションにて3演題の発表を行った。3演題ともに日本で開発された非定型抗精神病薬であるAD-5423 (blonanserin)に関連する発表であった。その中で私が発表した内容はRadio-Receptor Assay (RRA)法を用いたAD-5423 (blonanserin)の薬理学的検討についてであった。すでにご存知の方もいらっしゃるとは思うが、AD-5423 (blonanserin)は1988年に日本で開発された4-phenyl-2-(1-piperazinyl) pyridine誘導体で、現在臨床の場において導入されているrisperidoneやperospironeと同様に抗D2活性に加え、抗5-HT2A活性を併せ持つ薬剤すなわちSerotonin-Dopamine Antagonist (SDA)である。SDAは新規抗精神病薬に分類され、従来の抗精神病薬と比較して陽性症状の改善においては同等の臨床効果を持ち、陰性症状や認知機能障害の改善においてはより優れており、さらに薬原性錐体外路症状などの副作用の出現は少ないとされている。日本においては新規抗精神病薬としてrisperidoneが初めて臨床の場に導入されて以来、現在olanzapine, seroquel, perospironeが臨床の場に導入されおり、統合失調症の薬物療法は新たな局面を迎えている。本薬剤は1992年に第I相試験が開始され、第V相試験ではhaloperidolとの比較で有効性における非劣性並びに錐体外路系副作用発現率における優越性が検証されている。そして、今回の私の発表を通して明らかになったことはSDAが新規抗精神病薬としての適切な臨床効果を発現するためには、患者の脳内において抗5-HT2A活性が抗D2活性より優位である必要があるという前提に立つと、我々が以前に報告したrisperidone, zotepine, olanzapineと同様に本薬剤のS/D比の平均が1.0以上であることより、in vivo すなわち血漿中においても抗5-HT2A活性が抗D2活性を上回るというSDAとしての薬理学的特徴が保たれていることであった。また、当教室の他の演題で本薬剤による臨床効果ならびに薬原性錐体外路症状の発現についても発表した。今回、ポスターセッションでの発表において欧米の参加者とのディスカッションを通じて感じたことは前述したように本薬剤は現在欧米にはない日本で開発された新規抗精神病薬ということもあり、欧米の参加者にとって興味深い内容であったかもしれない。今回の経験を励みにして今後も研究に邁進したいと思っている。
 前述したように様々な側面からみて新規抗精神病薬は従来の抗精神病薬と比べ優れており、今や統合失調症の薬物療法の中心となっているといっても過言ではないであろう。ところが、今まで新規抗精神病薬の利点にばかりについ目を奪われがちではあったが、果たしてそれで良いのであろうかと問い直させられた出来事があった。それは、以前から指摘されていることではあったが、最近日本で話題になったolanzapineと耐糖能異常との関連についてである。olanzapineに対する緊急安全性情報が出されて以来、現在日本で新規抗精神病薬投与による糖尿病、体重増加ならびに脂質代謝異常のriskについて大きな関心が寄せられていることもあり、個人的には本学会で特にその内容についての発表が目にとまり、今後の臨床の場で役立つ内容で非常に興味深かった。risperidone, olanzapineなどは日本に導入される以前に欧米ですでに導入されていることもあり現在まで数々の知見がある一方で、今後発売予定の本薬剤やperospironeは日本で開発された新規抗精神病薬ということもあり、前述の薬剤と比べてまだまだ知見が乏しいと言わざるを得ない。今さら言及することではないが、今後は新規抗精神病薬それぞれの薬理学的プロファイルや臨床効果さらに新規抗精神病薬投与によるriskについて比較検討していくことが大切であり、そのことが臨床の場において統合失調症に対する適切な薬物療法につながっていくことになるのではないだろうか。


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