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【目的】
セロトニントランスポーター(5-HTT)は、セロトニン前神経終末に存在し、再取りこみ機構によってシナプス間隙のセロトニン濃度を調節している。本研究では、5-HTT遺伝子のプロモーター領域にある5-HTT Gene-Linked Polymorphic Region(5-HTTLPR)多型と、第2イントロンにある5-HTT Variable Number of Tandem Repeats(5-HTTVNTR)多型と治療抵抗性気分障害との関連を検討すると共に、髄液モノアミン動態と5-HTT遺伝子型との関連を検討した。
【対象と方法】
抗うつ薬を服薬下のスウェーデン人気分障害119例と、健常正常者141例を対象とした。患者群は全例1)DSM-IVの診断基準に従い、現在うつ病エピソードにある者、2) 少なくとも抑うつ症状が8週間持続している者、3) 2種類以上の抗うつ薬あるいは気分安定薬による適切な薬物療法を4週間行って改善をみない者、という基準を満たす治療抵抗性気分障害例とし、全例白人であった。なお本研究はGoteborg University Faculty of Medicine、Karolinska Instituteの倫理委員会によって承認されたものである。末梢血白血球から抽出されたgenomic DNAを用い、PCR法によって、全対象の5-HTTLPR多型、5-HTTVNTR多型の遺伝子型を同定した。また患者群のうち112例の髄液モノアミン代謝産物濃度、5-hydroxyindoleacetic acid(5-HIAA)、homovanillic acid(HVA)、3-methoxy-4-hydroxyphenylglycol(MHPG)を測定した。χ2検定により、患者群・対照群における遺伝子型頻度・アレル頻度を比較し、ANCOVAにより、髄液モノアミン代謝産物濃度と遺伝子型との関連を解析した。
【結果】
いずれの多型においても、患者群、対照群の遺伝子型頻度、アレル頻度に有意差はなかった。また両群のハプロタイプ頻度にも有意差はなかった。一方、5-HIAA濃度は5-HTTLPR遺伝子型間で有意に異なっており(p=0.030)、s/s群ではl/l群と比較して、5-HIAA濃度が有意に高値であった(p=0.011)。同様の有意差がHVA濃度と5-HTTLPR遺伝子型間でも認められ(p=0.003)、s/s群ではl/s群(p=0.002)、l/l群(p=0.002)と比較して、HVA濃度が有意に高値であった。
【考察】
本研究では、5-HTTの機能的遺伝子多型と治療抵抗性気分障害との関連は認められなかった。一方、セロトニン代謝産物の5-HIAA濃度、ドーパミン代謝産物のHVA濃度と5-HTTLPR遺伝子型との関連を認め、5-HTTLPR遺伝子多型が中枢モノアミン動態に影響を及ぼすことが示唆された。
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