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【はじめに】
これまでの研究により、fluvoxamine代謝にcytochrome-P450 (CYP)2D6およびCYP1A2が関与することが示唆されているが、他の代謝経路の関与も示唆されており不明な点が多い。今回我々は、fluvoxamineの薬物動態に影響を与える候補因子として、腸管やblood-brain barrierなどに存在する薬物トランスポーターであるATP-binding cassette subfamily B member 1 (ABCB1, MDR1 or P-glycoprotein)に着目した。そして、複数の薬物の血中濃度との関連が示唆されているABCB1遺伝子の3435 C > T多型とfluvoxamine血中濃度との関係について調べた。
【方法】
新潟大学医歯学総合病院精神科の外来通院中でfluvoxamine50、100、150、200 mg/dayのうち1種類以上の用量で治療を受けた62名(平均年齢:36.2±11.9歳、男性/女性:37名/25名)を対象とした。同一用量のfluvoxamineを2週間以上内服した時点で、最終服薬から12時間後に採血を行った。血中濃度測定はHPLC法を用いた。ABCB1遺伝子の3435 C > T遺伝子型をPCR法で同定した。本研究は新潟大学医学部遺伝子倫理委員会の承諾を得ており、本研究内容を文書で十分に説明し、書面にて同意の得られた症例を対象とした。
【結果】
50 mg/day (n = 49)、100 mg/day (n = 42)、150 mg/day (n = 40)の各内服群において、3435 C > T遺伝子型は各用量で補正したfluvoxamine血中濃度に有意な影響を与えなかった。200 mg/day (n = 30)内服群では、3435 C > T遺伝子型間でfluvoxamine血中濃度に有意な違いを認め(p = 0.019, Kruskal-Wallis test)、事後検定ではTT遺伝子型群はCC遺伝子型群に比べて有意にfluvoxamine血中濃度が高いという結果であった(中央値0.861 vs. 0.434 (ng/ml)/(mg/day), p = 0.026)。
【考察および結論】
Fluvoxamine用量増加に伴い血中濃度は非線形性の増加を示すことが分かっているが、これにはCYP2D6およびCYP1A2活性の飽和現象が関与している可能性が考えられている。本研究では、ABCB1遺伝子の3435 C > T多型がfluvoxamine高用量でその血中濃度に対して強い影響を与えることが示唆されたことから、fluvoxamine高用量では、飽和傾向を示すCYP2D6およびCYP1A2に代わりABCB1がfluvoxamine薬物動態に大きな影響を与える可能性が考えられた。しかし、fluvoxamineがABCB1の基質であることを示した研究はこれまでなく今後の検討が必要である。
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