分裂病脳内ヒスタミンH1受容体のPETによる測定
‐HaloperidolおよびRisperidone内服群の検討
岩淵健太郎1)、伊藤千裕1)、窪田恭彦1)、田代学2)、鹿野理子3)、岩田錬4)、
伊藤正敏4)、佐藤光源5)、谷内一彦2)
1)東北大学医学部精神神経学
2)東北大学医学部病態薬理学
3)東北大学医学部心療内科学
4)東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター
5)東北福祉大学大学院・精神医学
[目的]精神分裂病の薬物療法において、D2遮断作用が中心の定型抗精神病薬によっては良好な臨床効果が得られないことがあるが、そのような際に効果が期待される非定型抗精神病薬の作用機序には、ドーパミン以外の神経系に対する作用も想定されており、そのひとつにヒスタミン神経系がある。ヒスタミン神経系は脳内において、日内リズムや摂食、情動、ストレスなどに広く関与しており、分裂病の動物モデルであるmethamphetamine逆耐性やヒトの分裂病においても、その関与が報告されている。しかし、分裂病脳内ヒスタミン受容体のin
vivoでの変化を報告した研究は今までなく、今回我々はpositron
emission tomography (PET)を用いて、分裂病および正常者における脳内ヒスタミンH1受容体の定量と比較を行った。[方法]本研究は東北大学放射性核種を用いる臨床研究委員会の承認を受け、全ての被検者からinformed
consentを得て行った。分裂病患者(haloperidolもしくはrisperidoneを服薬中)と正常ボランティアにおいて、H1受容体をPETによって計測した。
[11C]doxepinを静注した後90分間のダイナミック・スキャンを行い、Logan
らによるグラフィカル・アナリシスにより、受容体のbinding
potential (BP)のパラメトリック・イメージを得た。BPイメージは、region
of interest (ROI)毎の比較の他に、statistical parametric
mapping (SPM)99を用いて比較した。[結果]SPMによる比較においては、分裂病haloperidol群の島、後頭葉、運動前野などでH1受容体結合能の有意な低下を認め、それらはROI毎の比較でも示された。[考察]haloperidolのH1受容体親和性は充分に低く、今回の結果はヒスタミン神経系が分裂病の病態に関与していることを示すものと思われる。さらに分裂病risperidone群においても同様の方法で比較を行ったところ、H1受容体結合能はさらに低下しており、risperidoneのH1受容体親和性に関するin
vitroでの報告を裏付ける結果となったので、非定型抗精神病薬のH1受容体占拠率も含め、今後さらに検討してゆきたい。 |