Dopamine D2 受容体遺伝子多型を用いたdopamine受容体遮断薬に対する
治療抵抗性の予測

近藤 毅 1)、 三原一雄 1)、 鈴木昭仁 1)、 古郡規雄 2)、 小野真吾 1)、 兼子 直 1)
コンドウツヨシ、ミハラカズオ、スズキアキヒト、フルコオリノリオ、オノシンゴ、カネコスナオ

1) 弘前大学医学部神経精神医学講座 
2) 弘前大学医学部臨床薬理学講座

TaqI A dopamine D2受容体遺伝子多型のA1遺伝子保有者および-141C Ins/Del dopamine D2受容体遺伝子多型のDel 遺伝子非保有者において、dopamine D2受容体密度が低下することが報告されている。そこで、本研究では、これらの受容体遺伝子多型同定を組み合わせることにより、精神分裂病患者におけるdopamine受容体遮断薬に対する治療反応性を正確に予測することが可能であるか否か、について検討を行った。対象は未治療または再発をみた急性増悪期の精神分裂病患者49例であり、3週間の期間、bromperidol(30例:平均11.4±4.8 mg/日)またはnemonapride(19例:18 mg/日)による治療を行った。治療前および3週後にBrief Psychiatric Rating Scale (BPRS)による臨床評価を行うとともに、前記dopamine D2受容体遺伝子多型をpolymerase chain reaction法にて同定した。本研究は弘前大学医学部倫理委員会により承認され、対象患者からは研究に参加する旨書面による同意を得た。40例(81.6%)がA1 遺伝子保有者またはDel 遺伝子非保有者であり、残りの9例(18.4%)がA1 遺伝子非保有者かつDel 遺伝子保有者であった。後者の群は前者の群と比較して、総BPRS症状(40.3±26.2% vs. 63.2±28.2 %, P=0.036)、陽性症状(36.8±34.1 % vs. 68.4±33.7%, P=0.014)および不安−抑うつ症状(7.3±42.9 % vs. 63.1±35.1%, P=0.001)の改善がいずれも不良であった。本結果より、治療前に前記のdopamine D2受容体遺伝子多型を組み合わせて同定し、dopamine受容体遮断薬に対して治療抵抗性を有す患者のスクリーニングを行うことで、非定型抗精神病薬により治療すべき症例を合理的に選択することが可能となると考えられた。

B A C K


Copyright(C) 2000-2001 The Japanese Society of Clinical Neuropsychopharmacology. All rights reserved.