Risperidoneによる不安抑うつ症状改善効果をTaqA1>A2多型が予測しうるか
〜HTR2A・DRD2・COMT多型と標的症状との関連解析

山之内 芳雄1) 鈴木 竜世1)、 北島 剛司1)、 西山 毅2)、 岩田 仲生1)、 尾崎 紀夫1)

1)藤田保健衛生大学医学部精神医学教室 
2)名古屋市立大学医学部精神医学

 非定型抗精神病薬であるrisperidone(RIS)は、セロトニン2A受容体およびドーパミン2受容体に高い親和性を持ち,両遺伝子上の多型は、RIS反応性との関連が予測され、薬理遺伝学的アプローチの候補遺伝子多型と考えられる。そこで、我々は、精神分裂病患者において、セロトニン2Aおよびドーパミン2受容体ならびにドーパミン代謝酵素であるCOMTの遺伝子(HTR2A, DRD2,COMT)多型と、陽性陰性症状評価尺度(PANSS)を指標としたRIS反応性との関連について、標的症状ごとに検討を行い、不安抑うつ症状改善とDRD2遺伝子であるTaqA1>A2多型との有意な関連を見出した。
 対象と方法:本研究は当該施設での倫理審査委員会の承認のもと、本研究の説明と同意を文書により得た精神分裂病患者60名を対象とした。RIS単剤投与を8週間行ない、症状評価はPANSSにて行った。投与前後でのPANSS評点減少率を、5因子(陰性・陽性・思考解体・敵意興奮・不安抑うつ)に分け、変数とした。検討した遺伝子多型は、-1438G>A, 102T>C, his452tyr(HTR2A),TaqA1>A2, -141C Ins/Del (DRD2), val158 met (COMT)の6多型で、全対象の遺伝子型を同定した。各症状因子のPANSS評点減少率の遺伝子型での差異を検定し、さらに背景因子も含めた重回帰分析も行った.
 結果:不安抑うつ症状の改善とTaqA1>A2, -141C Ins>Del多型に差異が認められた。他の多型ならびに他のPANSS因子の間には有意な差異はなかった。また、両多型は連鎖不平衡が成り立たず、投与期間・生涯入院期間も含めた重回帰分析では、TaqA1>A2多型のみが不安抑うつ改善と強い関連を示した.今回の結果から、TaqA1>A2多型がRISによる不安抑うつ症状の改善効果を予測しうる遺伝的因子と考えた.

B A C K


Copyright(C) 2000-2001 The Japanese Society of Clinical Neuropsychopharmacology. All rights reserved.