日本臨床精神神経薬理学会理事長挨拶

新たな時代へ向けて

 日本臨床精神神経薬理学会も組織固めの時代から学会として社会に貢献出来る組織へと変貌を遂げつつあり、新たな時代へ向けた活動が必要な時代に入りました。

 本学会の大きな目的は精神神経疾患の薬物治療に関わる幅広い領域の研究を育成することですが、その中にはいくつもの重要な課題があります。

 人材の育成は単にこの領域の研究者育成だけでなく、新たな治療薬の開発や使用される薬剤の特性に関する啓蒙的な活動に携わる人材の育成も視野に入れなくてはいけません。そのため、学会の専門医制度、海外研修員制度、治験登録医/創薬・育薬認定師制度をさらに充実してゆきたいと考えております。

 また、現在の日本における新しい治療薬の少なさについても対策を考える時期と考えております。国際的に新薬の導入に関して平成3年11月にはInternational Conference on Harmonizationの第1回会議が開催され、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(新GCP)」は平成10年4月から施行されています。我が国における新薬の導入・開発の遅れにはいくつもの原因があり、その解決には時間を要しますが、ユーザー、規制当局、関係学会など各関係方面との密接な連絡・討議および連携を推進し、我が国のユーザーが不利にならないよう努力する必要があります。

 既に、本邦の各研究者は国際的に活躍しており、その研究の質は高く評価されております。しかし、本邦に導入されていない新薬が多く、精神神経疾患の薬物療法について国際的に根幹となる研究は未だ十分ではありません。今後、学会は国内外の共同研究を推進する体制を作り、国際的に存在証明を可能とするような研究を我が国から数多く提出することが望まれております。

 このような比較的若い学会ですが、その社会的、学問的意義は年々高まっており、新たな時代の臨床精神神経薬理学を皆様と共に発展させたいと考えております。意欲的な方々の入会を歓迎いたします。



日本臨床精神神経薬理学会理事長
兼子 直

 


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